Amazon のキーワード最適化を扱う記事の多くは「タイトル、箇条書き、バックエンドの検索キーワードに語を入れる」で止まります。間違ってはいませんが、最も難しい部分を飛ばしています。手元にはたいてい数百から数千の語があり、問題はどれから手を付けるかです。
さらに、ゼロから始める前提になっています。実際にはリスティングが公開された時点で、すでに一群の語で露出が発生しています。最適化とは白紙から語を選ぶことではなく、すでに動いているその群を分類することです。
まず三つの問いを分ける
最適化の過程では三つの異なる問いが出てきます。それぞれ別のデータに対応します。
| 問い | データ | API パス |
|---|---|---|
| 自分のリスティングはどの語で露出しているか | 流入キーワード逆引き | /v1/amazon/traffic/keyword |
| そのうち実際に売れているのはどれか | 販売キーワード逆引き | /v1/amazon/keyword-order |
| この語に投資を続ける価値はあるか | キーワード転換率 | /v1/amazon/keyword/conversion |
この三つを一枚の表に混ぜることが、キーワード表が使われなくなる主な原因です。一つ目は露出の所在を、二つ目は売上の出どころを示し、三つ目は個別の語について判断するためのものです。
キーワード表がまだ無いなら、自分のキーワードライブラリを作るがその前段 —— ABA、逆引き、拡張の三種を保守可能な一つの表にまとめる手順を扱っています。この記事はすでに手元にある前提です。
最も重要な区別:流入語と販売語は別物
流入キーワード逆引きが返すのは、その ASIN が検索結果の上位 3 ページに入ったことのある語です。販売キーワード逆引きが返すのは、購入につながった語です。
二つの集合は重なりますが、まったく同じではありません。そして「キーワード最適化」が失敗する原因のほとんどは、前者のうち後者に含まれない部分に労力を注ぐことです。検索量が大きく、露出もあり、それでも一度も売れない語。
この種の語はデータ上すぐ分かります。販売キーワード逆引きの conversionType がそのまま印を付けているからです。
四つの転換タイプ、四つの異なる対応
conversionType は語を四つに分類します。この四つは同じ扱いを必要としません。それがこの記事の核心です。
| タイプ | 意味 | すべきこと |
|---|---|---|
E | 転換優良語 | 守る。自然順位が 1 ページ目にあるか確認し、タイトルを優先的に割り当てる |
S | 転換安定語 | 維持でよい。「最適化」のために追加投資しない |
L | 転換流出語 | 原因を調べる。 以前は売れていた。変化は外部で起きている |
I | 無効露出語 | 露出はあるが転換しない。関連性を判断し、停止か改善かを決める |
L と I は別立てで説明する価値があります。まったく異なる問題を指しているからです。
L 転換流出語が最優先です。 かつて売れていたということは関連性に問題は無く、リスティングも一度は受け止められていたということです。それが止まったなら、変化はほぼ確実に外部にあります。競合の値下げ、新規参入、在庫切れ、評価の低下。この種の語にキーワードの変更は要りません。その期間に何が起きたかを調べることが必要です。
I 無効露出語は別の話です。 露出があって転換しないのは、たいてい関連性が弱い —— 検索した人が求めているのはあなたが売っているものではない、ということです。広告では純粋な支出になります。ただし停止する前に一点だけ確かめてください。本当に関連性が弱いのか、それとも関連はあるのに見せ方が引き留められていないのか。次の節がその見分け方です。
クリック前とクリック後は別の問題
キーワード転換率 API は clickingRate(上位 3 位クリック率)と clickConvRate(クリック転換率)を返します。この二つは別の段階を測っており、直し方も違います。
| 症状 | どこで詰まっているか | 何を変えるか |
|---|---|---|
clickingRate が低い | 検索結果ページ | メイン画像、価格、タイトル前半、評価数 |
clickConvRate が低い | 商品ページ | レビュー内容、画像の詳細、説明、価格比較 |
| 両方低い | おそらく関連性 | そもそも要らない語かもしれない |
一行目は「見られたがクリックされなかった」です。タイトル内のキーワード順序を直すのは効きますが、商品ページの説明を書き直しても効きません。
二行目は逆で、「クリックされたが買われなかった」です。ここでキーワードをいくら調整しても効果はありません。キーワードの仕事はすでに終わっているからです。
この二つを分けることが、「キーワードの最適化」と「リスティングの最適化」の境界です。 データが後者を指していることは多く、それはキーワードの問題ではありません。
自然順位と広告順位は並べて見る
流入逆引きの各語は rankPosition(自然順位)と adPosition(広告順位)の両方を持ち、それぞれ page、index、position に分かれています —— 何ページ目か、ページ内で何番目か、全体で何位か。
さらに badges 配列があり、その語がどこに露出させているかを示します。naturalSearching、amazonChoice、sponsorBrand、sponsorVideo、ads など。
この二組を突き合わせると、二種類の無駄が直接見えます。
一つ目:すでに自然順位で上位なのに、その語に広告費を払っている。 rankPosition.position が高く広告も走っているなら、その支出は元から持っている位置を買っていることになります。即座に止めるべきとは限りませんが、既定の状態ではなく理由のある判断であるべきです。
二つ目:badges に ads はあるが naturalSearching が無い。 その語の露出は完全に買ったもので、配信を止めればゼロになります。新商品期に特定の語を押すなど戦略として成立しますが、「この語はもう取れた」と思い込むのではなく、そうしていると自覚している必要があります。
語をどこに置くか
分類が終われば、配置の原則は短いものです。
- タイトルには
Eの中で検索量の大きい少数の語を、羅列ではなく文として読める順序で - 箇条書きと説明には中位から下位の語を、自然な文で。一文につき一つの利用場面
- バックエンド検索キーワードには綴りの揺れ、言い換え、上で置き場の無かった語を。タイトルにある語は繰り返さない
- A+ と画像内の文言はサイト内検索の一致に直接関与しません。キーワードではなく転換のために書いてください
文字数やバイト数の上限はここには書きません。プラットフォームの制限は変わり、サイトごとに異なります。 その時点の管理画面の表示に従ってください。記事に固定した数値は、古くなった時点で無いより悪くなります。
最適化が効いたかをどう確かめるか
変更後には再確認の仕組みが要ります。無いと「最適化が効いた」と「今月はカテゴリ全体が伸びた」を区別できません。
販売キーワード逆引きは searchRank、searchRankGv(月間変化量)、searchRankGr(月間変化率)を返し、週次(reverseType が W)と月次(M)に対応しています。実務としてはこうします。
- 変更前に基準を保存する。 各語の
conversionTypeとrankPosition.positionを含めて - 月次で再確認する。 順位がどれだけ動いたかより、語のタイプが移動したかを見る
I→EまたはL→Eが、作業が実を結んだ信号- 流入逆引きの
monthパラメータは過去の暦月を取れるので、当時の状態を振り返れる
重要なのは 2 番です。順位の数値はカテゴリ全体に引きずられますが、conversionType の移動は相対的な判断であり、その影響をはるかに受けにくいのです。
このデータにできない三つ
自社のバックエンド検索キーワードレポートは取得できません。 それはセラーアカウントの認可データです。この記事のデータはすべて公開側のもので、両者は代替になりません。
競合のバックエンド検索キーワードも取得できません。 同じ理由で、相手のアカウントからしか見えません。
関連性の判断は代行できません。 I はその語が転換しないことを示しますが、その語をそもそも持つべきかは語そのものを見て判断する必要があります。データはあなたの商品が実際に何であるかを知りません。
逆引きデータの定義を先に検証してから採否を決めたいなら、Amazon キーワード逆引きツールの選び方に自分で回せる検収チェックリストがあります。
よくある質問
最適化の効果はどれくらいで出ますか。 順位の変化と転換の変化は同期しません。日次で見張るのではなく月次で再確認してください。日次の解像度ではノイズが信号をはるかに上回ります。
キーワードは多いほど良いですか。
違います。数が増えると薄まりますし、I の語が大量にあると広告では純粋な支出になります。四つのうち本当に投資に値するのは E と L の一部だけです。
タイトル内のキーワードの順序は重要ですか。
クリックの観点では重要です。clickingRate はまさに検索結果であなたを見た人の反応を測っており、タイトルの前半が先に読まれる部分です。羅列より自然に読める順序のほうが有利です。
同じ語がサイトごとに違う挙動をするのは正常ですか。
正常です。検索量、競争の強さ、言い回しはサイトごとに独立しています。逆引きも転換率 API も marketplace パラメータを持つので、サイトごとに個別に取得し、まとめて一枚の表にしないでください。