季節商品のリサーチは、たいてい「今年のこの行事では何が売れるか」から始まります。
しかし多くの出品者にとって、先に問うべきは別のことです。シーズンが終わったあとに残った在庫をどうするか。 季節商品の販売は一年に均等には分かれませんが、保管料、寝かせる資金、処分の損失は毎月かかります。ピークが鋭いほど、閑散期に抱える在庫は重くなります。
そこでこの記事は順序を固定します。季節性が本当に存在し毎年繰り返すかを確かめ、どれだけ集中しているかを測り、新しいリスティングがその分を取れるかを確認し、最後にどの月に判断するかを決めます。商品リサーチ全般は商品リサーチを「除外のプロセス」として考えるにあり、ここでは時間の軸だけを扱います。
ステップ 1:複数年の月次データから立ち上がりの月を探す
Keyword Research Trends エンドポイントは、キーワードの月次履歴を返します。ドキュメントの例は 2017 年 1 月から始まります。
curl --request POST \
--url https://ecommercedataapi.com/v1/amazon/keyword-research/trends \
--header "Content-Type: application/json" \
--header "X-API-Key: ${ECOMMERCE_DATA_API_KEY}" \
--data '{
"marketplace": "JP",
"keyword": "ワイヤレス充電器"
}'1 行が 1 か月です。重要なフィールドは次のとおりです。
| フィールド | 意味 |
|---|---|
time | 月。"2017年01月" のような文字列で、日付型ではない |
search | その月の検索数 |
purchase / purchaseRate | 購入数と購入率 |
yearlyGrowth / chainGrowth / threeMonthGrowth | 前年同月比、前月比、3 か月の伸び率 |
探すべきはピークの月ではなく、曲線が上がり始める月です。 ピークの月は量が最大ですが、そこで参入するのはすでに遅すぎます。判断のタイミングは、立ち上がりの月から自社の補充サイクル(生産・輸送・納品の合計)ぶん前です。
そして毎年繰り返しているかを見ます。 同じ月の区間を少なくとも 2〜3 年分重ねてください。毎年同じ月に上がり始め、同じ月にピークを迎えるなら季節性です。一度だけの突出は一過性の流行である可能性が高く、来年も来る季節として当てにはできません。
読むときの注意点が 2 つあります。
- キーワードは
keywordで返されます。以前の誤った綴りkeywrodも同じ値で引き続き返されるため、古いコードもそのまま動きます。 timeは中国語形式の文字列です。並べ替えやグラフ化の前に日付へ変換してください。文字列のまま並べると年の切り替わりで順序が崩れます。
ステップ 2:前年同月比で、今年のシーズンが大きいか小さいかを判断する
シーズンの存在が確かめられたら、次は今年の規模です。
シーズン直前の数か月の yearlyGrowth を見て、chainGrowth は見ないでください。 季節性のある語は、立ち上がり期に前月比が毎年大きく伸びます。その伸びは季節によるもので、需要が本当に増えたわけではありません。前年同月比は同じ月どうしを比べるので季節の影響が打ち消され、残るのは需要そのものの変化です。
同じ 2 つのフィールドは、順位が下がったあとの事後診断にも使えます。その使い方はキーワード順位のモニタリングにあります。ここでは先を見るために使います。
注意すべき値が 2 つあります。
- 系列の最初の月は比べる前年がありません。 例では 2017 年 1 月と 2 月の
yearlyGrowthがどちらも 0 です。この 0 は「比較の基準がない」という意味で、「成長ゼロ」ではありません。 - 同じ行に 2 種類の表記が混ざっています。 例から計算すると、
purchaseRate: 8.31はパーセント(1085 ÷ 13059 ≈ 8.31%)、chainGrowth: 0.01は小数(13148 ÷ 13059 − 1 ≈ 0.0068)です。同じ表に並べる前に単位をそろえてください。
ステップ 3:季節集中度を測る——一年の量のうちどれだけがピークに集まるか
参入するかどうかを最も左右するのがこのステップで、最も飛ばされがちなステップでもあります。
キーワードから個別の商品に降ります。カテゴリー内の代表的な ASIN をいくつか選び、ASIN Sales Trends エンドポイントで月次データを取ります。salesTrendPoints 配列は月ごとに 1 行で、month、price、averagePrice、parentUnitSales、childUnitSales、parentSalesRevenue、childSalesRevenue を含みます。(例はドキュメントのマーケットプレイスと ASIN です。自社のものに置き換えてください)
curl --request POST \
--url https://ecommercedataapi.com/v1/amazon/asin/sales-trend \
--header "Content-Type: application/json" \
--header "X-API-Key: ${ECOMMERCE_DATA_API_KEY}" \
--data '{
"marketplace": "US",
"asin": "B08GHW4TBS"
}'計算はシンプルです。
季節集中度 = ピーク月の販売数の合計 ÷ 年間の販売数この比率が高いほど、在庫を売り切らなければならない期間は短くなります。そのままリスクに換算できます。
- 集中度が低い:季節性はおまけです。閑散期も売れ、在庫の負担は軽くなります。
- 集中度が高い:一年の商売が数か月に詰め込まれています。発注量を多めに見積もれば、残りは翌年まで待つか値下げして処分することになります。
定義上の注意が 2 点あります。
- 親と子を分けてください。
parentUnitSalesはバリエーション全体、childUnitSalesはこの子 ASIN だけの数値です。親の数値を単独リスティングの競合と比べると、バリエーション数の分だけ膨らみます。詳しくはAmazon の販売データで分かること・分からないことを参照してください。 - 販売数は推定値です。 集中度のような比率は、モデルの系統的な誤差が分子と分母で一部打ち消されるため信頼できます。絶対的な販売数を発注数量として扱うのは信頼できません。
price と averagePrice も月ごとに見てください。ピークの量が大幅な値下げで得られたものなら、定価のままでは取れない量です。
ステップ 4:新しいリスティングがピークの一部を取れるかを確かめる
季節性は本物で、量もある。残る問いは 既存の出品者がすべて持っていくかどうか です。
Listing Trends エンドポイントは商品をリスティングの出品年でグループ化し、グループごとに year、products、units、revenue、unitsRatio を返します。時間の単位は月ではなく年なので、季節性は見えません。答えているのは別の問いで、直近 1〜2 年に出品された商品がカテゴリーの販売のうちどれだけを取ったか、です。
- 直近の年のグループの
unitsRatioが低い → ピークはほぼ古いリスティングが取っており、シーズンに合わせて参入する新商品が取り分を得るのは難しい。 - 直近の年のグループに一定のシェアがある → 新しい出品者が継続的に参入に成功しており、シーズンに合わせた参入にも見込みがある。
このエンドポイントにはカテゴリーの nodeIdPath が必要です。ノード ID はマーケットプレイスごとに異なるので、先にProduct Categories エンドポイントで自分のマーケットプレイスのパスを調べてください。「3 年以上」などの年齢帯で見る既存在庫の構造はカテゴリー分析にあります。
カテゴリーの曲線と Amazon 外の曲線で照合する
キーワードの曲線は 1 語を表すだけです。ほかの 2 本の曲線で、それが代表性を持つかを確かめます。
カテゴリー全体では、Product Demand Trends エンドポイントがカテゴリーノードの items 系列を返し、各項目は date と glanceViews(閲覧数)です。1 語ではなくカテゴリー全体のリズムを表します。カテゴリーの曲線とキーワードの曲線の形が大きく違うなら、その語はカテゴリーの主な需要を代表していないかもしれません。語を増やして見てください。
Amazon の外では、Google Trends エンドポイントが items(time はタイムスタンプ、value は関心度)を返します。googleProp でウェブ検索(web)かショッピング検索(shoppingCart)を選び、monthly で月次集計を切り替えます。照合に使ってください。Amazon の内外の曲線が同じ季節のリズムを示せば、結論はより堅くなります。ただし Amazon の需要の先行指標として断定はしないでください。関係はカテゴリーによって異なり、自分で履歴と照らし合わせる必要があります。 パラメーターと制約は Google トレンド API のページで詳しく説明しています。
このデータにできない 3 つのこと
補充サイクルは分かりません。 データが教えるのは立ち上がりの月までです。何か月前に発注すべきかは、工場、輸送手段、納品スケジュールで決まり、それは自分で埋めるしかありません。
今年に突発的な変化があるかは分かりません。 過去の曲線は、今年が例年とおおむね同じだと仮定しています。新しいプラットフォームのルール、物流の変化、競合の大型セールで今年はずれることがあります。前年同月比は方向を示しますが、結果を予言はしません。
処分コストは肩代わりしません。 集中度は比率として出てきます。シーズン後に残った 1 個ごとに保管料や値下げでいくらかかるかは、自社のコスト構造次第です。
よくある質問
履歴が 1 年しかない新しい語で季節性を判断できますか? 確かには判断できません。季節性とは繰り返しのことで、1 年分では季節と一度きりの流行を区別できません。まず所属カテゴリーの需要曲線を見て、似たような既存の語の複数年の曲線を参考にしてください。
季節集中度はいくつから高いと言えますか? 共通のしきい値はありません。資金の回転と保管コストと合わせて見てください。1 つの絶対値にこだわるより、複数の候補を集中度で並べて比べるほうが役に立ちます。
シーズン参入の判断月は具体的にいつですか? 立ち上がりの月から、自社の補充サイクル全体を差し引いた月です。どちらもカテゴリーや出品者によって違うため、その月は自分の数字からしか計算できません。
ピーク月の販売数だけで発注量を決めてもいいですか? おすすめしません。ピーク月の数値は推定値で、発注量はシーズン全体の合計と、許容できる残り在庫の量で決めるべきです。1 か月のピークで決めるものではありません。