カテゴリの良し悪しを判断するとき、最もよく使われるのは総量です。月間販売数がいくつ、市場規模がどれくらい。
総量は天井を教えてくれます。しかし本当の問いには答えません。その天井の下に、まだ自分の場所が残っているか。 しかも総量自体がこのデータで最も信頼度の低い数字です。その理由は「市場規模」という数字はどう算出されるのかにまとめてあります。
月に百万個動くカテゴリでも、その八割が三年以上前からある Listing に集中しているなら、新規商品にとっては月十万個で構造が緩いカテゴリより難しい。総量ではこの違いが見えません。分布なら見えます。
まず統計で規模を掴む
選市場統計 API はカテゴリノード単位で基礎指標を返します。
| フィールド | 意味 |
|---|---|
totalProducts | 商品総数 |
brands | ブランド数 |
sellers | 出品者数 |
nodeLabelPath | ノード名称パス |
currency | その市場の通貨 |
brands と sellers を totalProducts に対して見れば集中度が出ます。 五千の商品が四ブランドに分かれているのと四百ブランドに分かれているのでは、まったく別の市場です。前者は寡占、後者は分散市場で、参入の取り方も変わります。
products と totalProducts が別のフィールドである点に注意してください。前者は標本数、後者は総数です。比率を出すときに取り違えやすい、この API で最も読み間違えやすい箇所です。
分布一:出品期間 ——「新規は入れるか」に答える
四つのうち最初に読むべきものです。
出品期間分布 API は Listing の年数でグループ化し、各グループに label(「3年以上」など)、products、units、revenue、unitsRatio を返します。
unitsRatio が要のフィールドです。 ドキュメントの「3年以上」の例値は 0.834。そのカテゴリの販売数の 83.4% が三年以上前からある Listing に渡っているという意味です。
この数字は新規商品の置かれた状況に直接答えます。
- 古い Listing の比率が高い → 位置が固定化しており、新規が動かすには長い時間がかかる
- 一年以内の Listing が相応の比率を持つ → 構造がまだ流動的で、入り込む余地がある
- 複数の年数帯に分散している → 新規参入が継続的に成功している。最も健全な信号
総量が大きく新規の比率が小さいカテゴリが典型的な罠です。 数字は魅力的に見えて、その販売数は最初から自分のものではありません。
分布二:出品者タイプ ——「誰と競うか」に答える
出品者タイプ分布 API は配送方式と出品者種別の構成を返し、各グループに label(「Amazon 直販」など)、asinNum、asinRatio、units、unitsRatio、ratings、rating が付きます。
比べるべきは asinRatio と unitsRatio の対です。
| 状況 | 意味 |
|---|---|
asinRatio が低く unitsRatio が高い | 少ない商品数で多くの販売を取っている。効率が高く、崩しにくい |
asinRatio が高く unitsRatio が低い | 商品は多いが売れていない。数合わせの層 |
直販の比率が高いカテゴリは別途考える必要があります。避けるべきとは限りませんが、価格と配送で求められる水準は上がります。
rating と ratings もここで返るので、各層の評価水準をついでに読めます。ある層の平均評価が目立って低ければ、それは品質面の機会です。
分布三:価格 ——「どの価格帯でやるか」に答える
価格分布 API は価格帯でグループ化し、各帯に label(「5-10」など)、products、units、revenue、unitsRatio を返します。
探すのは products と unitsRatio のずれです。
- 商品数は多いのに販売比率が低い帯 → 売れない商品で埋まっている、レッドオーシャンの中の空転地帯
- 商品数は少ないのに販売比率が高い帯 → 需要がここに集中し、供給が追いついていない
後者が狙う位置です。最高価格帯とも最安価格帯とも限らず、たいてい中ほどの目立たない区間にあります。
選市場統計 APIカテゴリノード単位で商品総数、ブランド数、出品者数、ノードパスなどの中核統計を返します四つを重ねてどう判断するか
単独の分布だけでは誤判断します。組み合わせて初めて結論が出ます。
| 組み合わせ | 判断 |
|---|---|
| 古い Listing の比率が低い+ブランドが分散+供給不足の価格帯がある | 入る価値がある |
| 古い Listing の比率が高い+ブランドが集中 | 固定化。明確な差別化が無ければ入らない |
| 新規の比率が高い+ただし平均評価が総じて低い | 需要はあり、誰もうまくやれていない。品質で差をつける機会 |
| 総量が大きい+古い Listing が総取り | 典型的な罠。数字は良いが入れない |
三行目が最も見落とされる機会です。 新規が大量に流入しているのは需要が検証済みということで、評価が総じて低いのはまだ誰もうまくやれていないということ。供給体制に強みのある出品者に向きます。
そのあとで商品を絞る
カテゴリ層の判断が終わってから、その中で商品を絞ります。選品 API には min / max の条件が 20 組近くあり、上で得た結論をそのまま条件に書けます。出品期間分布が「古い商品を避けよ」と言うなら availableMonth で、価格分布が目標帯を示すなら minPrice / maxPrice で。
三段階の流れ全体は一括選品:三つの API をつないで候補 ASIN を作るに、候補を比較可能な表に落とす方法はAmazon 商品リサーチ表にあります。
このデータにできない三つ
販売に関わるものはすべて推算です。 これらの分布の units、revenue、unitsRatio はいずれも販売数の推算の上に乗っており、プラットフォームは販売数を公開していません。相対的な構造の比較には使えますが、絶対値として扱うことはできません。この層の詳細はAmazon の販売数データで分かること・分からないことにあります。
供給体制で対応できるかは分かりません。 データは「その位置が空いている」と言いますが、そこを埋められるかは言いません。仕入れられるか、特許のリスクがあるかは API の知るところではありません。
カテゴリ階層は自分で決める必要があります。 大分類と小分類で分布はまったく違いえます。同じ判断が第一階層と第三階層で逆の結論になることもあるので、nodeIdPath を記録し、「このカテゴリ」と曖昧に書かないでください。
よくある質問
どの階層のカテゴリを見るべきですか。 実際に競争する階層です。たいていは自社商品が分類される小分類であって、その上の大分類ではありません。大分類の分布は無関係な小分類に薄められます。
新規の比率がどれくらいなら「入れる」のですか。 カテゴリ差が大きいため一律の閾値はありません。横並びで比較するのが現実的です。候補カテゴリ数件の同じ数字を並べて順位を付けるほうが、単一の絶対値を睨むより意味があります。
分布データはどれくらいの頻度で更新されますか。 API が返す計算時刻を基準にし、リアルタイムだと仮定しないでください。傾向を見るときは基準を固定し、異なる時点の標本を混ぜて比較しないこと。
このデータで季節性を判断できますか。 出品期間分布では判断できません。それが表すのは存在している構造です。季節性は市場トレンド系 API の時系列を使ってください。