「この語はいくらで入札すべきか」は広告で最も多い問いで、尋ねる側は一つの数字を期待しています。
キーワード転換率 API が一つの語について返すのは 36 個の数字です。API が冗長なのではなく、その問いに二つの限定が欠けているからです。どのマッチタイプか、そして市場のどの位置に立ちたいか。
36 個の内訳
四つの指標群 × 三つのマッチタイプ × 各三つの値。
| フレーズ | 完全一致 | 部分一致 | |
|---|---|---|---|
| 入札額 | phrasePpc | exactPpc | broadPpc |
| 獲得単価 | phraseCpa | exactCpa | broadCpa |
| 推奨予算 | phraseBudget | exactBudget | broadBudget |
| ACOS | phraseAcos | exactAcos | broadAcos |
どれも単一の値ではなく、min、max、value を持つオブジェクトです。
value は中央値であって推奨値ではありません。 フィールド名が「システムがこの額を推奨している」と読ませやすいので、ここは強調しておきます。実際の意味は、その語に出稿している広告主の入札額の真ん中がここにある、ということです。
中央値で入札するとどうなるか
exactPpc.value をそのまま入札額にすると、得られる結果は市場と同じです。明確に勝ちもせず、明確に負けもしません。新しい語の立ち上げとしては妥当ですが、戦略ではありません。
情報を持っているのは範囲のほうです。
maxがminより大きく離れている → その語について参加者の判断が割れている。商品によって価値が大きく違うことが多く、自分で試す価値がある- 範囲が狭い → 各自の計算が似た結論に達している。中央値から離れるほど理由が要る
max近くで入札したい → 自分の転換率が明らかに平均より高いときにだけ成立する
最後が肝心です。高く入札できる条件は予算の多さではなく転換率の高さです。 同じ語で転換率が二倍の人は、ACOS を変えずに二倍の入札ができます。だから入札額より先に転換を見ます。
転換を先に、入札を後に
同じ呼び出しでこれらも返ります。
| フィールド | 意味 |
|---|---|
searches | 検索量 |
clicks | クリック数 |
purchases | 購入数 |
searchConvRate | 検索転換率 |
clickConvRate | クリック転換率 |
clickingRate | 上位 3 位クリック率 |
conversionRate | 上位 3 位転換率 |
まず読むべきは clickConvRate です。支払える入札額の上限を決めるのがこれだからです。 転換率 2% の語と 8% の語では、入札額の中央値が同じでも、支払える実額は四倍違います。
順序としては、clickConvRate からその語の価値を見積もり、次に exactPpc の範囲でその見積もりが市場のどこに位置するかを見ます。逆に、他人の入札額を見てから自分の額を決めるのは、他人の転換率で自分の価格を決めることです。
ACOS の範囲で「自分の問題ではない」を除外する
phraseAcos、exactAcos、broadAcos はその語の市場における ACOS の分布を返します。
使い方は順位監視の市場層と同じ考え方です。その語がそもそも高いのか、自分の運用が悪いのかを先に確定させます。
- 自分の ACOS が
exactAcos.maxを明らかに超える → おそらく自分の問題(転換、商品ページ、価格) - 範囲内なのに赤字 → そのカテゴリではその語はその価格。判断すべきは出稿するか否か
- 範囲全体が高い → 競争の激しい語で、ブランド力のある側に向く
この手順を飛ばす典型的な代償は、もともとカテゴリ的に高い語のためにクリエイティブと商品ページを繰り返し作り直すことです。問題は最初からそこに無かった。Amazon キーワード順位の監視で言う「まず市場で除外する」を広告側に移しただけです。
マッチタイプで価格が違う理由
完全一致、フレーズ、部分一致で範囲が違うのは、プラットフォームの選好ではなく流入の純度によります。
- 完全一致は流入が最も絞られ、転換率がたいてい最も高く、したがって支払える額も最も高い
- 部分一致は無関係な検索語を大量に連れてくるため平均転換が薄まり、支払える額も下がる
- フレーズはその中間
ですから broadPpc が exactPpc より低いのを見て「部分一致は安いからお得」と読まないでください。安いのは連れてくる流入が悪いからです。 同じ通貨で、買っているものが違います。
絞り込み条件で逆に語を探す
リクエストには min / max の絞り込みが多数あり、逆向きにも使えます。一つの語の価格を調べるのではなく、価格条件で語を探す使い方です。
| 探したい語 | 使う条件 |
|---|---|
| 安くて転換する | maxPpc と minClickConvRate |
| カテゴリ内で ACOS が制御できる | maxAcos |
| 量はあるがまだ値が上がっていない | minSearches と maxPpc |
| 獲得単価が許容範囲 | maxCpa |
includeKeywords と excludeKeywords で語幹の絞り込みを重ねられます。数千語を書き出して表で絞るより効率がよく、呼び出し量も節約できます。
このデータにできない三つ
自社の広告レポートは取得できません。 実際の費用、実際の ACOS、検索語レポートはセラーセントラルの認可データです。ここにあるのはすべて市場側の分布です。
入札額を決めてはくれません。 市場の範囲と転換の根拠は得られますが、最終的な数字は利益構造に依存し、API はそれを知りません。
リアルタイムの入札価格ではありません。 一定期間の統計分布であって、今この瞬間のオークション価格ではありません。戦略の範囲設定に使い、分単位の入札調整には使わないでください。
よくある質問
value をそのまま入札額にしてよいですか。
出発点としては構いませんが、推奨値ではなく中央値です。中央値で入札し続ければ、結果は市場平均と同じになります。
どのマッチタイプを使うべきですか。 完全一致でどの語が実際に転換するかを検証し、フレーズで量を伸ばし、部分一致は除外キーワードと併せて新語の発見に使います。入札額は三つそれぞれの範囲から個別に決め、一つの数字を三つに当てはめないでください。
実際の CPC が exactPpc と合わないのはなぜですか。
入札額は上限で、実際の課金はオークションで決まり、たいてい下回ります。加えて API が示すのは市場分布であり、実費は関連性や時間帯にも左右されます。
このデータはどれくらいの頻度で更新されますか。
timeType が週次と直近 90 日の二つの区切りに対応しています。傾向を見るときはどちらかに固定し、混ぜて比較しないでください。